本記事は「レーヌ・デ・レネット(Reine des Renettes)」という品種のりんごについてまとめています。以下目次です。
レーヌ・デ・レネット(Reine des Renettes)の来歴
起源は不明。国による名称の違いもあり別名も多く、別品種が同じ名称・別名を持つなど混乱し、様々な説がありました。現在ではオランダ原産の『Kroon Renet』という名称を持つ品種が起源で、18世紀後半から存在すると考えられています。
この品種に関する初めての記述は、ドイツのポモロジストDiel(1756-1839)氏の著書「Versuch einer systematischen Beschreibung in Deutschland Vol 6」(1802)とされ、『Goldreinetten』の項に別名として『Kronenreinette』『Kroon Renet』の名前が記載されています。
この『Kroon Renet』はフランス語で「Reinette de la Couronne」の意味であることから『Reine des Reinettes』と変化していったものと考えられています。この品種名での最初の記述はJ.-B.d’Albret著「Cours théorique et pratique de la taille des arbres fruitiers」の1840年度版で「King of the pepine(原文ママ) ou reine des reinettes」と記載されています(1829年&1836年は記載無)。
日本へは1874(明治7)年内務省勧業寮によりフランスから導入。
レーヌ・デ・レネット(Reine des Renettes)の特性
早生品種。形状は円~円錐形。バナナや蜂蜜のような香りがあり、甘酸っぱい。ジューシーで歯ごたえよく、生食用、製菓用に適しています。
2018年の加工適性試験の際は以下の様な特徴が見られました。
・果肉は大きく膨らみ、早く柔らかくなる
・水分は多く出ず、煮詰まるのに時間はかからない
・煮崩れ、モロモロとした食感で、切り口はジューシー
・かなり酸味が強く、甘みを足すと良いかもしれない
(2019、2020の試験では煮崩れず、酸味は強すぎない
結びに
Reine des reinettesの英語名とされる『King of Pippins』及び『Golden Winter Peamain』について。
『King of Pippins』の品種名について今回見つけられた最初の記述は、イギリスの植物学者William Forsyth(1737-1804)著「A Treatise on the Culture and Management of Fruit-trees(1803)」の中で、1月に熟し3月下旬まで日持ちすると説明されています。
Robert Hogg(1818-1897)著「British pomology(1851)」の中では『Golden Winter Peamain』の別名として『King of Pippins』を記載している他、『King of Pippins II』の項目が別に掲載、同名の別品種であると指摘しています。ここでの『Golden Winter Peamain』は、Dielが『Goldreinetten』と書いた品種と同じものとして書かれていますが、この名称は各国で翻訳された同様の意味を持つものが存在し(仏語『Reinette dorée』独語『Goldparmäne』等)、それぞれ別品種であるという説もあり、特定不可能となっています。
参考文献・URL
・André Leroy, Dictionnaire de pomologie, Pommes, tome 2, 1867. Lire la fiche, p. 611
・三久保美加『TARTE TATIN タルト・タタンとりんごたち2018』(SHIMAUMA PRINT)
・Cours théorique et pratique de la taille des arbres fruitiers(J.-B.d’Albret) 1840他